経営者対談

株式会社人財育成JAPAN 代表取締役
永松茂久 × 嶋村吉洋

ソーシャルビジネスコミュニティ『ワクセル』(主催:嶋村吉洋)が定期的に開催している経営者対談。

今回は、2021年の書籍年間ベストセラーランキング総合1位(※日販調べ)を獲得した『人は話し方が9割』の著者である永松茂久さんと、投資家であり映画プロデューサーでもある嶋村吉洋が、人間力やビジネスについて語りました。

2021年ベストセラー作家として人のお役に立ち続ける

司会:永松さんの著書『人は話し方が9割』が2021年の書籍年間ベストセラーランキングで総合1位を獲得されましたが、要因を教えてください。

永松:本をあまり読まない人をターゲットにしていたからだと思います。

意外に思われるかもしれませんが、僕の周りは本を読まない人が多いんです(笑)。そのおかげで『人は話し方が9割』は、本を読まない人の心に刺さる本になりました。

世の中には普段から本を読む人より、読まない人の方が多いです。一般的にビジネス書は本を読む人向けの内容にすることが多いですが、『人は話し方が9割』は、本を読まない人向けの内容になっています。

「話し方」というテーマも良かったようです。「話し方」は家庭、友人関係、恋愛、職場、どんな場面でも必要かつ悩んでいる人が多いため、たくさんの方に読んでいただいています。

さらにテレワークも追い風になりました。オンラインでのコミュニケーションは対面より反応がわかりにくく、話し方を学びたいという人が増えています。

司会:年間ベストセラーランキングで総合1位を獲得されたいま、亡くなったお母様に伝えたいことはありますか?

永松:いま伝えるとしたら「引き続き人のお役に立てるように頑張ります」ですかね。

うちのおふくろには「本を書くのも、社長になるのも、有名になるのも、全部人の役に立つためです」と常に言われてきました。そのため、日本一になったときもこの称号を何のために使うか考えました。

そこで見えてきたのが、"次世代著者の育成"です。良い著者をたくさん生み出して、素敵な本が世の中に増えれば出版業界、ひいては日本全体が元気になると信じています。

嶋村:永松さんの著書『喜ばれる人になりなさい』を読ませていただきましたが、お母様への想いにとても感動し、全編うるうるしてしまいました。

うちの母は2年前にくも膜下出血で倒れてしまい、現在は言葉も話せず寝たきりの状態です。現在はいつでも会えるように、同じマンションの別室に住んでもらって介護をお願いしています。

母は父との離婚や祖母の介護など、いろいろ苦労をしてきた人なので、母のためにできることは何でもやろうと思っています。

『喜ばれる人になりなさい』誕生秘話

永松:『喜ばれる人になりなさい』を読んで感動したという声をたくさんいただき、とてもありがたいなと感じています。

おふくろが亡くなったときに、おふくろから何度も言ってもらった「喜ばれる人になりなさい」という言葉をテーマに本を書こうと決めました。ただし、自分で条件をひとつ決めていました。

その条件は "日本一になること" です。おふくろの言葉を世の中に伝えたいという気持ちは強かったのですが、その本のラストが「日本一を目指して頑張ります!」では締まらないと感じたのです。そのため "日本一になること" を出版の条件としました。

嶋村:コミットしてやり遂げることは、私も経営者としてとても大切にしています。「目指して頑張ります」と「コミットして達成しました」ではまったく意味が違いますよね。

永松:正直こんなに早く日本一になると思っていなかったので、読者はもちろん出版社・書店の方々にとても感謝しています。誰かが力を抜いていたら取れなかったタイトルだと思います。

著者だけの力で日本一はとれません。著者育成をしていると書き方や企画書について質問を受けることが多いのですが、一番大事なのは人間力だと思っています。

「感動」という言葉はあるが「理動」という言葉がないように、人は理屈ではなく感情で動きます。「この人と一緒に本をつくりたい!」と思ってもらえる人間力が重要なんです。

では「人間力はどう育んでいくのか?」を考えたとき、結局たどり着くのはおふくろの「喜ばれる人になりなさい」という言葉でした。

嶋村:「喜ばれる人になりなさい」という言葉は本当に素敵ですよね。多くのお母様はお子様に対してそう思っているでしょう。ぜひ多くの若者に読んでもらい、永松さんの想いが届いてほしいです。

永松:そうですね。もともと『喜ばれる人になりなさい』は、20〜30代の若者向けに書いた本です。親に感謝して、大事にしてほしいと思って書きました。ただ、ふたを開けてみると40〜60代の女性がメイン読者で驚きました。

母親が主役の本なので、母の言葉が子育てなどで悩みを抱えているお母さんたちの心を軽くしてくれたようです。

著者の育成、プロデュースで日本を元気に

株式会社人財育成JAPAN代表取締役・永松茂久×ワクセル主催・嶋村吉洋

司会:作家として頂点まで上り詰めた永松さんは、今後どこを目指して活動されますか?

永松:いま経営している『株式会社人材育成JAPAN』は著者育成のための会社なのですが、新たに『センチュリー出版オフィス』という出版支援オフィスをつくる予定です。

著者さんは一生懸命に出版まで行うのですが、どう売ってよいかわからず困っている人が多いです。そこで著者さんのサポート組織をつくることにしました。

この活動の認知度を上げるためにメディアに出ることも検討しています。僕らのキーコピーは「本の力で日本を元気に」なので、極端かもしれませんが「日本を元気にするのは本だ!」ぐらいのことをテレビで言いまくってしまおうかと思っています(笑)

また、ビジネス書の著者は社長であることが多いのですが、まだ本を出していない面白い社長さんも多くいらっしゃいます。そのような方々に「社長のノウハウを法則化して、世の中の困っている方を助けませんか?」という提案をしています。

社長さん以外にも、面白いことをやっている人やコンテンツを持っている人がいらっしゃいます。巡り巡ってその人自身にちゃんと返ってくるような設計とプロデュースをしたうえで、ノウハウをパッケージングして世の中に届けていくことを考えています。

司会:永松さんはワクセルのコラボレーターとしても活躍されていらっしゃいますが、コラボレートする際に大切にされていることはありますか?

永松:組んでくれた相手に利益があるかを第一に考えますね。
また、コラボレートするにはお互いが同レベルの影響力を持っている必要があると思っています。影響力に差がある場合、影響力が弱い方は単純に力を借りているだけなので、コラボレートと言うべきではないでしょう。
さらに、もうひとつ条件があるとすれば、自立していてコラボレートしなくてもやっていける人同士であることです。このような人たちがコラボレートするからこそ、本当の掛け算になり大きな結果が生まれると考えています。

嶋村:間違いないですね。レバレッジがきくからこそコラボレートには価値があると思います。永松さんとも一緒に大きな結果をつくっていけたらうれしいです。




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